生活習慣病ってどんな病気なの?
生活習慣病とは、その名のとおり「日々の生活習慣が深く関係して発症する病気」のことをいいます。
主な原因としては、不健康な食生活(塩分・脂肪・糖分のとりすぎ)運動不足、喫煙や過度の飲酒、ストレスの蓄積、睡眠不足などが挙げられます。代表的な生活習慣病には、高血圧症、糖尿病、脂質異常症などがあり、これらはいずれも動脈硬化を進行させ、心筋梗塞や脳卒中といった重大な疾患を引き起こすリスクを高めます。
しかし、裏を返せば、生活習慣を見直すことで予防・改善ができる病気でもあります。正しい知識と日常的なケアによって、大きな病気の発症リスクを下げることが可能です。
高血圧とは、血圧が慢性的に正常値よりも高い状態が続いていることを指します。
多くの場合、自覚症状がないまま進行しますが、放置すると血管に負担がかかり、動脈硬化を進行させる原因となります。動脈硬化が進むと、心臓や脳、腎臓などの重要な臓器に十分な酸素や栄養が届かなくなり、心筋梗塞、脳卒中、腎不全などの重大な病気を引き起こすリスクが高まります。
そのため、高血圧は「サイレントキラー(静かなる殺し屋)」とも呼ばれており、早期の診断と適切な治療がとても重要です。
現在のガイドラインでは、血圧は125/75mmHg未満を目標にコントロールすることが推奨されています。
高血圧の主な原因として、運動不足や塩分の過剰摂取、肥満、過度の飲酒、喫煙、ストレス、睡眠時無呼吸などが知られています。まずは生活習慣の改善が基本となり、それでも血圧が十分に下がらない場合には、必要に応じて薬物治療を行います。
私たちが食事から摂った糖質は、消化吸収されて「ブドウ糖」となり、体を動かすエネルギーとして使われます。
このブドウ糖を細胞に取り込むために必要なのが、「インスリン」というホルモンです。インスリンは膵臓から分泌され、血糖値(血液中のブドウ糖の濃度)を一定に保つ重要な働きをしています。
しかし、食べすぎや運動不足、肥満、加齢などが影響して、
といった状態になると、ブドウ糖が血液中に過剰に残ってしまい、血糖値が慢性的に高い状態=糖尿病になります。
糖尿病は進行すると、心筋梗塞や脳卒中、腎不全、失明、足の壊疽(えそ)による切断など、重篤な合併症を引き起こす可能性があります。初期にはほとんど自覚症状がないため、気づかないうちに進行していることも少なくありません。
糖尿病の原因には、生活習慣だけでなく、体質や遺伝的な要因が関係することもあります。
そのため、早期発見と継続的な治療、そして生活習慣の見直しがとても大切です。
脂質異常症とは、血液中の「中性脂肪」や「コレステロール」などの脂質が正常値から外れている状態を指します。
以前は「高脂血症」とも呼ばれていましたが、最近ではLDL(悪玉)コレステロールが高い、HDL(善玉)コレステロールが低い、中性脂肪が高いといった、さまざまな異常を含めて「脂質異常症」と総称されています。
脂質異常症の状態が長く続くと、血管の内側に脂質が沈着し、「動脈硬化」が進行します。
これにより血管が狭くなったり詰まったりすることで、心筋梗塞、狭心症、脳梗塞などの重大な疾患を引き起こすリスクが高まります。また、腎臓の血管にもダメージが及び、腎機能の低下や腎臓病の悪化にもつながります。
脂質異常症は、
といった生活習慣によって起こることが多いため、日常の生活スタイルの見直しが治療の基本となります。必要に応じて、薬による治療も併用します。
生活習慣病は“重なり”に注意が必要です。
高血圧、糖尿病、脂質異常症は、いずれも「三大生活習慣病」と呼ばれ、それぞれが動脈硬化を進め、心臓や血管に負担をかける病気です。
これらが複数合併すると、リスクは単純に足し算ではなく“掛け算”のように増加し、
心筋梗塞や脳卒中などの重い心血管疾患を発症しやすくなります。
そのため、ひとつでも生活習慣病を指摘された場合は、他の病気にも目を向け、
全体をバランスよく管理することが非常に大切です。
当クリニックでは、三大生活習慣病を包括的に診て、動脈硬化や心血管イベントのリスクを総合的に評価・管理します。
症状がないうちからの予防が、将来の健康につながります。